税務において、ある金額からある金額を差し引く際に「減算」と「控除」というものがあります。
どちらも「ある金額からある金額を差し引くこと」という意味で共通していますが、全く同じではなく、違いがあります。
「減算」は差し引いた金額がマイナスでもOK
「減算」が出てくるのは、主に法人税申告書の別表四です。
中段左に「減算」と書かれている項目があります。
この「減算」が意味するのは、
「差し引いた結果がマイナスになってもOK」
ということです。
例えば、法人税申告書別表四における課税所得の計算では、損益が赤字だった場合や、損益が黒字だったとしても減算項目の金額が多額な場合には、一番下の「所得金額又は欠損金額」がマイナスの金額になることがあります。
税金計算上は、それでOKです。
マイナスの場合は、欠損金として翌年度以降に繰り越すことができます(青色申告の場合)
「控除」は、差し引いた金額がマイナスになるのは×。計算上マイナスとなってもゼロとして扱う
「控除」といえば「所得控除」や「税額控除」という言葉がありますし、税務申告書上では「○○○○の当期控除額」や「△△△△の特別控除額」といった項目があります。
この「控除」が意味するのは、
「差し引いた結果がマイナスになるのはダメ」
ということです。
マイナスになってしまう場合は、計算上ゼロとして取り扱うことになります。
「A-B」という計算で、Bの金額がAの金額より多かったとしても、計算値はゼロにしなければならないということです。
実際、法人税や所得税には「税額控除」はありますが「税額減算」はありません。
「税額減算」の場合、その結果がマイナスとなれば還付されることになりますが、そうはなりません。
「減算」と「控除」は、同じ「差し引くこと」であっても、会計や税務では意味合いが異なってくるので注意しましょう。