実地棚卸の方法は、大きく「タグ方式」と「リスト方式」に分けられます。
いずれも一長一短であるため、どちらの方法を採用するかは会社の判断によります。
「タグ方式」とは
担当者が品目および個数を確認後、棚札と呼ばれる伝票に記入を行い当該現物に貼付する方法です。
全ての現物に棚札が貼付されていることで、棚卸資産が網羅的に(漏れなく)カウントされたことを確認することができます。
「タグ方式」のメリット
カウントした全ての現物に棚札を直接貼付する方法なので、カウント漏れ(カウントし忘れ)を防止することができます。
「タグ方式」のデメリット
全ての棚札を連番管理する必要があり(下記のプロセスで必要です)、棚札の管理が大変です。
全ての棚卸資産に棚札が貼付されていることを確認する
→終了後に全ての棚札を回収する
→棚札を使用分・未使用分・書き損じ分についてもすべて回収する
→発行された棚札数との一致を確認する
という一連のプロセスが必要なため、棚卸作業全体に時間がかかります。
「リスト方式」とは
在庫管理システムから出力されたリストをもとに、実際に保管されている棚卸資産の数量がリスト上の数量と一致していることを確認する方法です。
「リスト方式」のメリット
リスト上の在庫(理論上の在庫)との一致を確認する手続となるため、比較的短時間で出来ます。
「リスト方式」のデメリット
リスト上の在庫との一致を確認する作業となるため、現物のカウント漏れが発生しやすいです。
特に、何らかのミス等でシステムに記録されていなかった在庫は、「現物があるにもかかわらずカウントされない」というリスクが高く、そのまま簿外在庫となってしまう恐れがあります。
リスト上の在庫との一致を確認する作業となるため、在庫の受払いがシステムで継続的に記録され、かつ、リアルタイムでリストを出力できることが前提になります。
経験上、大企業では「リスト方式」を採用している会社が大多数でした。
(感覚的には9割ぐらいの印象です)
- 棚卸対象品目が多いため、「タグ方式」では棚札管理にもカウント自体にも時間がかかること
- 通常業務との兼ね合いのため、短時間で終わらせる必要性が高いこと
- 在庫管理システムからリアルタイムのリストが出せるため、「リスト方式」の採用が可能なこと
が主な要因として挙げられます。
リスト方式のデメリットを補完するためには、カウント済の現物に、大きめの付箋を貼っていく方法がおすすめです。
付箋を目印にすることで、カウント済のものとカウント未了のものを目視で区別することができ、かつ、カウントされていないものがないかどうかを事後的に確認できるからです。
また、付箋であれば棚卸全工程終了後すぐに剥がすことができ、製品・商品を傷めるリスクも低いかと思います。